看護師が病みやすい理由は?心が軽くなる対策術

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病んだ様子の看護師

この記事では、なぜ看護師が「病みやすい」と言われてしまうのか、その理由を考えてみたいと思います。

目次

「人の命をあずかる責任が、重すぎる…」
「夜勤明けで体はクタクタなのに、患者さんからクレームが…」

看護師の仕事って、本当に心も体も大変ですよね。
だから、「看護師は病みやすい」なんて言われてしまうことも、残念ながら少なくありません。

実際、看護職はメンタルヘルスをくずす可能性がハイリスクとされています。
(出典:日本看護協会

この記事を読むことで、毎日がんばっているあなたの心が、ほんの少しでも軽くなって、長く、あなたらしく看護師として輝きつづけるためのヒントが見つかれば、とてもうれしいです。

看護師が「病みやすい」と感じてしまう背景には、いくつかの理由が複雑にからみあっています。

命」をあつかう責任の重さ

私たちは、患者さんの命に直接かかわる仕事をしています。
そのため、常に高い集中力と、強い責任感が求められますよね。
たった一つのミスが、取り返しのつかない結果につながってしまうかもしれない…。
そのプレッシャーは、想像以上に大きいものです。
また、患者さんの容態が急に悪くなったり、時にはお看取りをしたりする場面に立ち会うこともあります。
そのたびに深い悲しみや、「もっと何かできたのでは…」という無力感に、さいなまれることもあります。

不規則な勤務と、とれない疲れ

夜勤をふくむ、ふ規則なシフト勤務。
これは、私たちの体のリズム(体内時計)をくるわせ、寝不足や自律神経の乱れを引き起こす原因になります。
寝不足がつづくと、集中力が落ちたり、気分が落ちこんだり…心と体に様々な不調が出てきますよね。
それに長時間労働や残業が当たり前になっている職場も、まだまだ多いのではないでしょうか。
慢性的な疲れが、どんどん体にたまっていく…。
そんな環境も、「病みやすさ」につながっているのかもしれません。

複雑な人間関係と、心ない言葉

患者さんや、そのご家族とのコミュニケーション。
いつも円滑にいくとは限りませんよね。
時には感情的な言葉をぶつけられたり、クレーム対応に追われたりして、心がすりへってしまうこともあります。
また、医師や他の医療スタッフとの連携も、私たちの仕事には欠かせません。
でもそこでも意見が食いちがったり、時には心ない言葉(パワハラなど)をうけたりすることだって、残念ながらあります。

学びつづけるプレッシャー

医療の世界は、日進月歩。
常に新しい知識や技術が登場します。
私たち看護師は、それらを常に学びつづける必要がありますよね。
さらにキャリアアップを目指すとなると、専門資格の取得や、研究活動など、自分自身で努力しつづけることが求められます。
こうした向上心は、もちろん大切です。
でも、それが過度なプレッシャーになってしまうこともあります。

「理想の看護師」とのギャップ

世間では、
「看護師さんは、白衣の天使」
「やさしくて、献身的」
といったイメージを持たれやすいですよね。
でも、現実はどうでしょう?
毎日のいそがしさや人間関係のストレスなど、たくさんの困難をかかえているのが、リアルな姿ではないでしょうか。
この、社会からの「理想のイメージ」と、「現実の自分」とのギャップに苦しんでしまう人もいます。
「こうあるべき」という理想像を追い求めるあまり、自分自身を追いつめてしまうのです。

病んだ様子の看護師

心の不調は、がんばり屋さんのあなたほど、自分ではなかなか気づきにくいものです。
でも早めに気づいて、早めに対処することが大切です。
以下に、看護師さんがかかえやすい心の不調のサインをまとめました。
本当は病みやすいのに無理してがんばっているだけかもしれません。
「あれ?もしかして…」と思うことがないか、チェックしてみてください。

バーンアウト(燃え尽き症候群):心がカラッポになる感じ

症状:

いつもぐったり疲れている、仕事へのやる気がまったく出ない、感情がわかない、何もできないと感じる。

サイン:

前は楽しかったことが楽しくない、ささいなことでイライラする、ミスが増えた。

うつ病:気分が深く沈んでしまう

症状:

理由もなく気分が落ちこむ、何にも興味がわかない、眠れない、食欲がない、集中できない。

サイン:

涙もろくなった、将来に希望がもてない、「どうせダメだ」と悲観的に考えてしまう。

不安障害:いつも何かに怯えている感じ

症状:

過剰な心配や緊張がつづく、ドキドキする、汗が止まらない、息苦しくなる。

サイン:

ちょっとしたことがものすごく不安になる、仕事中にパニック発作を起こすことがある、特定の場所や状況を避けるようになった。

睡眠障害:眠りのトラブル

症状:

寝つけない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、ぐっすり眠れた感じがしない。

サイン:

日中に強い眠気を感じる、集中力がつづかない、寝ても疲れがとれない。

適応障害:ストレスが原因で心身に不調が出る

症状:

ストレスになる出来事(異動、人間関係など)があってから3ヶ月以内に、気分の落ち込みや不安、行動の変化(涙もろくなる、怒りっぽくなるなど)が現れる。

サイン:

特定の状況や場所に行くと、決まって体調が悪くなる、以前はなかった遅刻や欠勤が増えた。

これらのサインに、もし一つでも「ドキッ」としたら。
それは、あなたの心が「ちょっと休ませて」とSOSを出しているのかもしれません。
とくに病みやすいと自覚している人は、早めに、信頼できる人や専門機関に相談することを考えてみてくださいね。

この記事を書いている私自身も、決して他人事ではありませんでした。

31歳のとき、救急診療科に配属されたばかりのころのことです。
当時の上司からの、毎日のように続く厳しい言葉や、威圧的な態度…。
それに深く傷つき、心と体のバランスを、すっかり崩してしまいました。

患者さんの記録を書こうとしても、なぜか手が震えてしまう。
理由もないのに、勝手に涙があふれて止まらない。
それまでどちらかというと「病みやすい」とはおもっていなかっただけに、そんな自分自身の変化に、ただただ驚くばかりでした。

でも、そのつらい経験を通して、私は強く思ったんです。
「どんなに『自分は強い』と思っている人でも、置かれている環境や状況しだいでは、心のバランスなんていとも簡単に崩れてしまうものなんだ」と。

看護師という仕事は人の命をあずかる責任の重さ、不規則な勤務、複雑な人間関係、終わりのない勉強…など、本当にたくさんのストレス要因が重なり合っています。

だからこそ私たちは、ひとりで悩みや苦しみを抱えこんではいけない。
お互いに声をかけあい、支えあい、助け合う。
そういう意識を持つことが、本当に大切なんだと思います。

では日々のいそがしい仕事の中で、少しでも心の負担を軽くするために、私たち自身でできることは何でしょうか?
具体的なメンタルケアの方法を、いくつかご紹介しますね。

質の高い「休み」と「睡眠」をとる

  • ぐっすり眠れる環境を整えましょう(寝室を暗く静かにする、寝る前にリラックスできる音楽を聴く、など)
  • 短い時間の睡眠や仮眠も、上手に活用しましょう(15分~20分の仮眠は、午後の集中力アップに効果的です。)
  • 休日は仕事のことは忘れて、思いっきり自分の好きなこと、楽しいことに時間を使ってみましょう。

「オン」と「オフ」を、意識して切り替える

  • 仕事とプライベートの境界線を、自分の中ではっきりさせましょう(たとえば、勤務時間外は仕事のメールやSNSを見ない、など)
  • 自分が心からリラックスできる習慣を、毎日の生活に取り入れましょう(ゆっくりお風呂に入る、好きな香りのアロマをたく、瞑想してみる、など)
  • 自然にふれる時間を作るのもおすすめです(公園を散歩する、植物を育てる、など)

「伝え方」「聴き方」を工夫する

  • 自分の気持ちや考えを、相手も尊重しながら、正直に伝える練習をしてみましょう(「アサーティブコミュニケーション」と言います。私も…ではなく、私は…と伝える練習)
  • 相手の話をただ聞くだけでなく、「心で聴く」ことを意識してみましょう(「傾聴」のスキルです)
  • つらいときは、信頼できる人に「助けて」「聞いてほしい」と、正直に伝えてみましょう(同僚、友人、家族、カウンセラーなど)

「専門家」の力を、ためらわずに借りる

  • 職場の産業医や、もしカウンセラーがいるなら、気軽に相談してみましょう。
  • 地域の精神保健福祉センターや、心療内科・精神科などの医療機関を受診することも、大切な選択肢です。
  • 看護協会など、看護師専門の相談窓口を利用するのも良いでしょう。

「自分を大切にする」時間をつくる

  • 人間は病みやすいものと考え、意識して労わる時間を作りましょう(マッサージやエステに行く、温泉でゆっくりするなど)
  • 純粋に自分が「好き!」と思えることに没頭する時間も大切です(読書、映画鑑賞、スポーツ、ものづくりなど)
  • 時には自分自身に「ごほうび」をあげましょう(美味しいものを食べる、欲しかったものを買うなど)
病んだことを周囲に伝え、前向きに考える看護師

看護師としていきいきと長く働きつづけるためには、日々のメンタルケアに加えて、もう少し長期的な視点での工夫も大切になってきます。

自分の「キャリアプラン」を描いてみる

  • 将来どんな看護師になりたいか、どんな働き方をしたいか、理想の姿を具体的に考えてみましょう。
  • その目標を達成するために、どんなスキルや経験が必要か、計画を立ててみましょう。
  • 一度立てたプランも定期的に見直して、状況に合わせて修正していくことが大切です。

「ワークライフバランス」を見直す

  • 今のあなたの「仕事」と「プライベート」のバランスは、ちょうど良い状態ですか? 定期的にふり返ってみましょう。
  • もしバランスが崩れていると感じるなら、働き方を見直すことを考えてみても良いかもしれません(勤務時間の調整、部署異動、思い切って転職、など)
  • 家族や友人など、あなたにとって大切な人たちと過ごす時間を、意識してつくりましょう。

「自分を好きになる」練習をする

  • 自分の良いところ、得意なこと(強みや長所)を、改めて認識してみましょう。
  • 「できた!」「やりとげた!」という小さな成功体験を、たくさん積み重ねていきましょう。
  • どんなに小さなことでも良いので、がんばった自分を、毎日ほめてあげる習慣をつけましょう。
  • 病みやすいこと=やさしい性格ととらえましょう。

「仲間」と支えあう

  • 職場の同僚と、積極的にコミュニケーションをとってみましょう。悩み相談だけでなく、情報交換なども大切です。
  • もし興味があれば、看護師が集まる勉強会やコミュニティなどに参加してみるのも良いかもしれません。
  • お互いに励ましあい、困ったときには支えあえる、そんな心強い仲間との関係を築いていきましょう。

看護師の仕事は、たくさんの喜びや、大きなやりがいを与えてくれます。
でもその一方で、他の仕事にはない、特有の難しさや精神的な負担が大きいので、病みやすい環境に置かれているのもいまた事実です。

今回ご紹介したさまざまなメンタルケアの方法を参考に、ぜひ、あなた自身に合ったやり方を見つけて、試してみてください。
大切なのは、無理なくつづけられることです。

そして、もし、どうしても心が晴れない、つらい気持ちが続く…と感じたら、どうかひとりで抱えこまないでください。
早めに信頼できる人や、専門機関に相談する勇気を持ってくださいね。

この記事が、まさにいま現場でがんばっている看護師の皆さんにとって、心も体も健やかになる一助となれば、これほどうれしいことはありません。
そしてあなたらしく輝きながら、長く活躍していていけることを願っています。


免責事項

本記事は、看護師のメンタルヘルスに関する情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。記事の内容は、執筆者自身の経験や一般的な情報を基に作成されていますが、個々の状況や症状によっては異なる場合があります。

記事内で紹介されているメンタルケアの方法や専門機関の情報は、あくまで参考情報であり、効果を保証するものではありません。ご自身の心身の状態や症状についてご心配な点がある場合は、必ず医師や専門家にご相談ください。

また、記事内で紹介されている商品やサービスに関する情報は、執筆者が個人的に良いと判断したものであり、全ての方に当てはまるわけではありません。商品やサービスのご利用にあたっては、ご自身の責任において判断してください。

本記事の内容によって生じたいかなる損害についても、執筆者は一切の責任を負いかねます。

この記事を書いた人

40代元看護師のアバター 40代元看護師 生成AI/Webマーケター/Webデザイナー/看護師/メンタル心理カウンセラー/上級心理カウンセラー

40代でキャリアチェンジをした元看護師(職歴約19年間)
生成AI/Webマーケティング/Webデザイン
現在は愛犬とのゆっくりした生活を最重視しています。

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