はじめに
いきなり「看護師は不安定なお仕事です」と言われたら、どうおもいますか?
じつは意外と「看護師は不安定」と考えているひともいるのです。
じっさいの収入や働き方には、意外な課題もあるんです。
この記事では、看護師のリアルな収入と働き方についてお伝えします。
お給料の中身、夜勤のこと、あまり知られていないストレスまで。
看護師の「ホントのところ」を、元看護師(経験19年)の私がお話しします。
これから看護師を目指すあなたも、今まさに現場でがんばっているあなたも、ぜひ読んでみてください。
きっと役立つヒントが見つかるはずです。
(※この記事は、元看護師である筆者の体験にもとづいています。あくまで個人の感想です。)
2024年実施 中高生に人気!でも、イメージと現実は?

LINE リサーチより「2024年実施 中高生のなりたい職業ランキング」が発表されました。
これによると、女子中高生の間で看護師は、あいかわらず大人気です。
昨年もトップ10入りしており、安定した人気ぶりがうかがえます。
人気の理由は、
「人の役に立ちたい」
「家族を助けてくれたように、自分も誰かを救いたい」
「国家資格でかっこいい」
「安定した収入がほしい」 など、さまざまです。「出典:LINEリサーチ」
私も昔、「看護師ってかっこいいな」と、あこがれていました。
そのイメージは、決して間違いではありません。
患者さんのいちばん近くで働く看護師は、良くも悪くも、いろいろなイメージを持たれやすい存在です。
私が学生だった頃は、今のようにインターネットで簡単に情報は探せませんでした。
医療ドラマの影響も大きかったように思います。
でも、実際に看護師として働いてみると、「あれ?」と感じることも実はたくさんありました。
看護師のお給料、その「からくり」とは?

さて、「看護師は安定、お給料も良い」というのは本当でしょうか?
結論からお伝えすると、看護師は不安定だというのが私の実感です。
「え?どうして? 求人も全国にあるし、お給料も悪くないはずじゃ…?」そう感じる方も、きっと多いでしょう。
実は、看護師のお給料が高く見えるのには、理由があります。
それは、「夜勤手当」の存在が大きいです。
看護師のお給料は、基本給に加えて、資格手当や地域手当など、いろいろな手当がプラスされて決まります。
中でも「夜勤手当」は金額が大きく、月に数回こなすだけでも、数万円のプラスになることが一般的です。
しかしこれは裏を返せば、夜勤がない部署に移るとお給料はガクッと減ってしまう、ということでもあるのです。
突然の「異動」で収入ダウン

大きな病院には、さまざまな事情をかかえた看護師さんが働いています。
子育て中の方、ご家族の介護をしている方、ご自身の体調に不安がある方など…。
そのため病院では定期的な人事異動のほかに、こうした個々の事情に合わせて急な部署異動が命じられることもあります。
もちろんそれは自分の希望とは関係なく、突然やってくることもあります。
その結果、次の月からいきなり夜勤がなくなり、収入が大幅に減ってしまうケースがあるのです。
ちなみに、私の場合は夜勤関連の手当だけで、月に平均7万円、多い月には9万円ほど支給されていました。 これがある日、突然「ゼロ」になる可能性がある…。
想像すると、けっこう怖い話ですよね。
すごく恐ろしいことです(笑)
年齢とともにキツくなる「夜勤」の現実
20代のうちは、夜勤もそれほど大変とは感じないかもしれません。
少し寝不足でも、気力と体力で乗りきれていたものです。
しかし、40代にさしかかる頃から、夜勤の負担はどんどん重くなっていきました。
体が思うように動かず、体調をくずす回数も増えました。
夜勤明けの疲労感もなかなか抜けません。
いつもどこか体がだるい…。
そんな慢性的な疲れをかかえながら、なんとか日々の業務をこなしていました。
「本当はもう夜勤はやりたくない…」
「でも、夜勤をやめたらお給料が下がってしまう…」
そんなつらいジレンマを抱える看護師は、少なくないはずです。
まるで、お給料と体調がシーソーに乗っているような感覚でした。
看護師の仕事、リアルな「大変さ」

他の医療職と比べてみると、看護師の仕事は「マルチタスク」だと言えます。
もちろん臨床検査技師さんや放射線技師さんも、高度な専門知識や技術が必要です。
ただ、例えば検査技師さんの場合、仕事の中心はやはり「検査」です。
患者さんと直接ふれあう時間は、看護師と比べると短い傾向にあるかもしれません。
また、検査機器を使う以上、一度に対応できる人数には限りがあります。
その点は、医師や患者さんも理解してくれることが多いでしょう。
一方、看護師の仕事の中心は、なんといっても「患者さんのケア」です。
それに加えて急変時の対応、ひっきりなしのナースコール、患者さんやご家族への説明、山のような看護記録、入退院の対応、検査や手術の準備・送り出し、他部署との連携…。
あげればキリがないほど、たくさんの業務を、同時に、しかもスピーディーにこなさなければなりません。
頭は常にフル回転。
広い院内を走り回り、自分の休憩時間やトイレに行く時間さえ、ままならないこともあります。
そんな状況で、心ない言葉をかけられてしまうことだってあるのです(悲しいですが…)。
ただでさえ、人の命をあずかるという重いプレッシャーがかかる現場です。
心も体も、すり減ってしまうのは当然かもしれません。
ストレスがたまりやすい環境であることは、残念ながら事実だと思います。
もし私がもう一度、医療系の職業を選び直せるとしたら…。
正直なところ、臨床検査技師か放射線技師の道を選んでいたかもしれません。
長く働きつづけるために「大切なこと」
がんばり屋さんが多い看護師さん。
でもがんばりすぎて心や体をこわしてしまう前に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
自分の「限界」を知る勇気
「私は大丈夫」
「まだやれる」
そう思っていませんか?
でも自分が思うよりも、ずっと繊細かもしれません。
無理な働き方がつづけば心や体は、意外なほど簡単につぶれてしまうものです。
そして一度こわれてしまっても、残念ながら誰も責任はとってくれません。
自分の「限界」を知り、無理をしない勇気をもつことがなにより大切です。
「お給料」だけがすべてじゃない
「給料が高いから」という理由だけで職場を選ぶのは少し危険かもしれません。
もちろんお給料は大切です。
でもそれがすべてではありません。
特に長く働きつづけたいと考えるなら、給料以外の要素、たとえば「働きがい」「職場の人間関係」「休みの取りやすさ」なども、じっくり考える必要があります。
イメージだけで判断せず、いろいろな情報を集めたり、実際に話を聞いたりして、本当に自分に合った働き方や職場を見つけることが重要です。
「転職」は慎重に
看護師は、全国どこでも働けるのが大きな強みです。
パートナーの転勤などで、やむを得ず転職をくり返すこともあるでしょう。
しかし、「今の職場がイヤだから」という理由だけで、安易に転職をくり返すのは、あまりおすすめできません。 転職をくり返すことで、かえってスキルアップの機会を逃してしまったり、キャリアプランにマイナスになったりすることもあるからです。
まとめ
看護師は社会にとってなくてはならない、とても意義深く、やりがいのある仕事です。
しかしこれまでお話ししてきたように、夜勤の有無による収入の差や、心身への負担の大きさなど、見過ごすことのできない課題も存在します。
若い頃はなんとかこなせていた夜勤も、年齢を重ねるにつれて、その負担は確実に増していきます。
生活リズムの乱れや、慢性的な疲労は、じわじわと心と体をむしばんでいく可能性があります。
また、予期せぬ異動や転職によって、収入が不安定になるリスクも、常に考えておく必要があるでしょう。
だからこそ、目先の収入額だけにとらわれるのではなく、長期的な視点で、自分が心身ともに健康に働きつづけられる職場環境を選ぶことが大切です。
自分の限界をきちんと把握すること。
そして、ストレスとうまく付き合い、心のケアを怠らないこと。
それが、看護師として長く、自分らしく輝きつづけるためのカギとなります。
もし、あなたが今の職場環境に不安や負担を感じているのなら、それは決してあなただけの問題ではありません。
勇気を出して、自分に合った働き方を探してみることを考えてみてください。
看護師という仕事は、大変なことばかりではありません。
患者さんからいただく温かい感謝の言葉や、チーム一丸となって目標を達成したときの達成感。
そうした、かけがえのない喜びや、やりがいもたくさんあります。
どうか、あなた自身の心と体の健康を第一に守りながら、充実したキャリアを築いていってください。
免責事項
この記事は、一般的な情報提供を目的としており、特定の個人や状況に対するアドバイスではありません。ご自身の状況に合わせて、専門家にご相談ください。
